Contents
1. はじめに – キャディーの減少が話題になっている現状

ゴルフ場でプレーする際、プレーヤーをサポートする「キャディー」の存在は欠かせないものでした。しかし、近年ではキャディーの数が減少し、多くのゴルフ場がキャディー不足に悩んでいます。一部のゴルフ場では、完全セルフプレーの導入が進んでおり、「キャディー付きのプレーは贅沢」とまで言われるようになりました。
では、なぜキャディーが減っているのでしょうか? 本記事では、キャディー減少の背景と、その影響、今後の対策について詳しく解説していきます。
2. キャディーが減っている主な理由

キャディーの減少には、いくつかの大きな要因があります。ここでは、主な理由を3つ挙げて詳しく解説します。
2-1. 人手不足と高齢化
日本全体で労働力不足が深刻化する中、ゴルフ業界も例外ではありません。キャディーの仕事は体力的にハードな側面があり、特に若い世代には敬遠されがちです。そのため、キャディーの高齢化が進み、新しい人材の確保が難しくなっています。
特に、以下のような要因がキャディーのなり手を減らしていると言われています。
- 早朝からの勤務が多く、勤務時間が不規則
- 夏は炎天下、冬は寒風の中での業務がきつい
- 体力勝負の仕事であり、年齢を重ねると続けにくい
- 人間関係(プレーヤーとの相性など)によるストレスが大きい
このような理由から、若い世代のキャディー志望者が少なく、業界全体の人手不足につながっています。
2-2. 労働環境の厳しさ
キャディーの仕事は「立ち仕事」「長時間の歩行」「重いゴルフバッグの持ち運び」といった負担が大きく、決して楽な仕事ではありません。さらに、接客業としての側面も強いため、プレーヤーとのコミュニケーション能力も求められます。
また、報酬面でも安定しにくいという課題があります。キャディーは多くの場合、ラウンドごとの日当制であり、天候や予約状況によって収入が変動します。この不安定さが、長く続けにくい要因の一つとなっています。
2-3. テクノロジーの進化(自動カートやGPSの普及)
近年、ゴルフ場では「キャディーなし」で快適にプレーできる環境が整いつつあります。
例えば、以下のような技術が普及し、キャディーの役割を代替しつつあります。
- 自動走行カート:ボールの位置まで自動で移動するカートが登場し、バッグの持ち運びが不要に
- GPSナビシステム:カートやスマホのアプリで、コース情報や距離を簡単に確認できる
- AIキャディーアプリ:プレーヤーのスキルに応じたクラブ選びや戦略をアドバイス
これらの技術の進化によって、キャディーを付けなくてもスムーズにラウンドできるようになり、プレーヤーの間でも「セルフプレーで十分」という考え方が広がっています。結果として、ゴルフ場側もキャディーを減らし、セルフプレーの選択肢を増やす流れが加速しています。
この投稿をInstagramで見る
3. キャディー不足がゴルフ業界に与える影響

キャディーが減少することで、ゴルフ業界全体にもさまざまな影響が出ています。ここでは、主に「ゴルフ場の運営」と「ゴルファーのプレースタイル」の2つの観点から、その変化を見ていきます。
3-1. ゴルフ場の運営への影響
キャディーの減少は、ゴルフ場の経営にも大きな影響を与えています。
① キャディー付きプレーの価格上昇
キャディー不足により、人件費が高騰しているため、キャディー付きのプレー料金が上昇傾向にあります。例えば、以前は「キャディー付き1ラウンド 2,000~3,000円程度の追加料金」で済んでいたゴルフ場でも、最近では5,000円以上の追加料金を設定するところが増えています。
② キャディー付きプレーの選択肢が減少
人手が足りないため、ゴルフ場によっては「キャディー付きプレーの枠を限定」したり、「完全セルフプレー制」に移行したりするケースも増えています。特に、地方のゴルフ場ではキャディーの確保が難しく、セルフプレーが主流になりつつあります。
③ コース管理やサービスの変化
キャディーが減ることで、プレーヤー自身がコース管理に協力する場面が増えています。例えば、
- ディボット(芝の削れた跡)の修復
- バンカーならし
- ピッチマーク(グリーンのへこみ)の修復
これらの作業は、従来はキャディーが行っていましたが、セルフプレーではプレーヤー自身が行う必要があります。そのため、一部のゴルフ場では「セルフプレーのマナー講習」を実施するなどの対応を始めています。
3-2. ゴルファーのプレースタイルの変化
キャディーがいなくなることで、ゴルファーのプレースタイルにも変化が見られます。
① プレーファスト(スピーディーなプレー)の意識向上
キャディーがいると、クラブの受け渡しやコースナビをサポートしてもらえるため、スムーズにプレーできます。しかし、セルフプレーでは自分でクラブを管理し、コースの情報も把握しなければなりません。そのため、プレーヤーの間で「プレーファスト(プレーを早く進める)」という意識が強くなっています。
② 戦略的な判断力の必要性
キャディーがいれば、「次はどのクラブを使うべきか?」「どのラインでパットすれば良いか?」といったアドバイスをもらえます。しかし、セルフプレーではすべて自分で判断しなければなりません。これにより、ゴルファー自身の判断力やコースマネジメント能力が試されるようになっています。
③ 新しいプレースタイルの広がり
最近では、キャディーなしでも快適にゴルフができるように、以下のようなサービスが増えています。
- セルフカートの充実:リモコン操作で動くカートや、ボール位置まで自動で移動するカートの導入
- デジタルナビの活用:GPS付きカートやスマホアプリを使った距離測定・コース攻略情報の提供
- プレーヤー同士の協力:仲間同士でキャディーの役割を分担するスタイルの普及

4. 今後の展望と対策
キャディー不足が進む中で、ゴルフ業界ではさまざまな対策が模索されています。ここでは、主に「キャディーの働き方改革」と「ゴルフ業界の新たな取り組み」の2つの方向性について紹介します。
4-1. キャディーの働き方改革
キャディー不足を解消するためには、働きやすい環境を整えることが不可欠です。そのため、以下のような取り組みが進められています。
① 給与・待遇の改善
ゴルフ場によっては、キャディーの給与を引き上げたり、ボーナス制度を導入したりすることで、魅力的な職業としての地位を確立しようとしています。また、フルタイムではなく「短時間勤務」「週2~3日の勤務」など、柔軟な働き方を選べるようにすることで、主婦やシニア層のキャディーを増やそうとする動きもあります。
② 肉体的負担の軽減
キャディーの仕事は体力的に厳しいため、一部のゴルフ場では「キャディーバッグの運搬をカートが自動で行う仕組み」を導入しています。これにより、キャディーはプレーヤーへのアドバイスや接客に専念でき、負担が軽減されると期待されています。
③ キャディー教育の充実
未経験者でも安心してキャディーになれるよう、研修プログラムの充実が図られています。例えば、
- オンライン研修を導入し、基本的なルールやマナーを学べるようにする
- **OJT(実地研修)**を強化し、経験豊富なキャディーが新入キャディーを指導する
このような取り組みにより、「ゴルフ未経験でもキャディーになれる」という環境を整え、新しい人材の確保を目指しています。
4-2. ゴルフ業界の新たな取り組み
キャディー不足の問題を解決するために、ゴルフ場や企業が導入を進めている新しい取り組みも注目されています。
① 完全セルフプレーの普及
一部のゴルフ場では、「完全セルフプレー」のシステムを整え、キャディーなしでも快適にラウンドできる環境を提供しています。例えば、
- カートの自動運転化:リモコン操作や自動追尾機能を備えたカートを導入
- セルフチェックインの導入:受付のデジタル化で、スムーズにプレーを開始できるようにする
- スマートフォンアプリの活用:GPSナビやスコア管理機能を充実させることで、キャディーの役割を補完
これにより、プレーヤーはキャディーなしでも快適にゴルフを楽しむことができるようになります。
② AIキャディーの開発
近年、AI技術を活用した「AIキャディー」が注目されています。これは、スマホアプリやゴルフカートに搭載されるシステムで、プレーヤーに対してリアルタイムでアドバイスを提供するものです。例えば、
- 風向きや距離に応じたクラブの選択アドバイス
- グリーン上でのパッティングラインの読み取りサポート
- プレーファストのためのコース戦略の提案
これにより、キャディーの代わりとなるデジタルサポートが可能になり、セルフプレーでもより戦略的にゴルフを楽しめるようになります。
③ キャディーシェアリングサービスの導入
「必要な時だけキャディーを手配する」という新しい仕組みも登場しています。これにより、ゴルフ場に専属のキャディーを雇わなくても、プレーヤーが希望する場合にキャディーを手配できるようになります。このシステムは、キャディーにとっても「働きたい時間だけ仕事ができる」というメリットがあり、フリーランスキャディーという新しい働き方の可能性も広がっています。
5. まとめ – キャディー不足の今後とゴルフの未来
近年、ゴルフ業界ではキャディーの減少が顕著になっています。その背景には、「人手不足と高齢化」「労働環境の厳しさ」「テクノロジーの進化」といった要因が複雑に絡み合っています。結果として、多くのゴルフ場でセルフプレーが主流となり、キャディー付きプレーの選択肢が減少しているのが現状です。
しかし、この状況に対応するために、業界全体でさまざまな改革や新しい取り組みが進められています。特に、「キャディーの待遇改善」「自動カートやAI技術の導入」「キャディーシェアリングサービスの開発」といった対策は、キャディー不足の問題を緩和し、ゴルフの楽しみ方を進化させる可能性を秘めています。
今後、ゴルフ業界はさらなる変化を迎えることになるでしょう。完全セルフプレーの普及が進む一方で、「接客サービスとしてのキャディーの価値」が再評価される可能性もあります。プレーヤーにとっては、キャディー付きプレーが「特別な体験」として位置づけられる時代が来るかもしれません。
ゴルフは新たな時代へ – 変化を楽しもう
キャディー不足の問題は、ゴルフ業界にとって大きな課題ですが、同時に新しいプレースタイルを生み出すチャンスでもあります。プレーヤー自身が戦略を考えながらセルフプレーを楽しむことが当たり前になりつつあり、デジタル技術の発展によって初心者でも気軽にゴルフを始められる環境が整いつつあります。
今後もゴルフの魅力を多くの人に届けるために、業界全体がどのような変化を遂げていくのか注目していきましょう。